松本俊夫実験映像集 I 詩としての映像

先日から読んでいる「映像の発見」。記録映画をとおして芸術的映像を語っている。物事の本質をいかに捉え映像化するのかということなど。
では、その著者である松本俊夫はどんな映像を作っているのか。このDVDには松本俊夫監督作品の「西陣」「石の詩」「母たち」の3本が収録されている。
全体を通してみての印象は「サンプリング」という言葉。過去の音源をサンプリングして再構成する音楽がある。その映像版とでもいうのか現実にある光景を切り取り再構成する。ドキュメンタリーとはそう言うものだがこの映像はまさにサンプリングという言葉がピッタリする。そもそもドキュメンタリーとは今そこでおこっていることを記録し演出家のフィルターを通して構成したもの。そう言う意味ではドキュメンタリーの素材自体がサンプリングなのだがこの3つの作品を見ていると音楽のサンプリングという印象を強く感じる。
西陣」では人が機織りをしている各部位のクローズアップを積み重ね、そこに機械の機織りを同じように重ねあわせてカットバックする。人、労働、機械がイコールで結ばれるイメージ。
その「西陣」、撮影は巨匠宮島義勇ヴェネチア映画祭で銀獅子賞、そして「母たち」はグランプリを獲っている。
これまで私が作ってきた映像とは全く違った世界。だが「石の詩」はTBSで放送されている。ただ、完成がOAの一時間前ということでノーチェックのOAだったらしい。もしチェックが入っていたらどうなったことやら。テレビは芸術ではないから。しかし刺激される・・・

松本俊夫実験映像集 DVD-BOX

松本俊夫実験映像集 DVD-BOX