インタビューなぜ安東孝一は問うのか?

    • テレビの仕事をしていてやっかいなのは取材対象の中途半端な専門家になってしまうことだ。理想はその分野において素人の目線を持ち問い続けること。それが取材を重ねるに従い、それまで知らなかったことが当たり前のことになっていく。情報を受け取る視聴者を置き去りにしてしまうことがあるのだ。何も知らない人に情報をわかりやすく伝えることは何よりも難しい。それはその分野においてかなりの理解を必要とする。この「インタビュー」での安東孝一は素人の目線に立って難しい専門知識以前の問題を問いかけ、疑問を素直に聞き出しその上でインタビュー対象者の本質を引き出している。専門家の専門家による読者を置き去りにした内容では無いことがうれしい。背伸びした専門家もどきには物足りない内容かも知れないが安東孝一の質問内容は読み進める読者の聞いて欲しいことを聞いていると感じる。欲を言えばインタビューの対象者がモノを作っている以上、作品の写真がもっと掲載され、それもカラーであればより話の内容を理解する手助けになったと思う。建築やアートの批評は難しい言葉を使い、それを理解した気分になることがステータスのような風潮を感じるが、このインタビューはこれから作品を作ろうとする人、今作っている人にも何かしらのプラスアルファをもたらしてくれそうな気がする。

インタビュー
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安東 孝一
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5 美術を学ぶ人は是非。