「自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか」岡本 太郎 著

どうも弥勒菩薩を描き上げてからイケてない。なんか迷ってるような感じ。そんな中、岡本太郎の本を読みかえしてみた。この人の本には元気づけられる。まぁ太郎さんのようにやろうと思ってもいろんな事考えてしまいなかなか思い通りに行かない現実。そんな現実も太郎さん的には甘えになってしまう。
岡本太郎の作品が好きかと問われれば好きではない。しかし気になる作品。竹橋の近代美術館で異様な光を放っていた作品が目に焼き付いている。いまでも語り継がれる太陽の塔はやはり名作だろう。好きでもキライでも記憶に残る作品は何かしらの感動を与えているのだろう。
この本にある「美しさと綺麗は違う」という言葉。「美しい」は普遍的な「美」であり絶対的な基準のもとにある。一方「キレイ」は相対的な基準のもとに流行り廃りに影響されるという。「キレイ」より「美しい」を目指したいもの。「幽玄」も「美」ということだろう。
己を最大の敵とする考え方。禅には「道で仏にあったら仏を殺せ」という言葉があるが太郎さんは仏を己と言い換えている。なんかこのままじゃいけないというように背中を押してくれる言葉の数々。
太郎さんのフランス時代、絵の技術を学ぶよりアーティストたちとの議論に明け暮れ哲学や社会学を極めたと言う話はとても興味深い。自分のやりたいこと、表現したいことは何なのか、その本質を探るために悩むみ考える。悩み考えながらも手を動かすのだろう。でも課題で作品を作っているときも手を動かすより言葉を探していた。言葉が決まらないと手も動かない。というか動かす方向性が必要と言うこと。次は「今日の芸術」を再び。まだまだ太郎さんに助けを求めそう・・・

今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社知恵の森文庫)

今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社知恵の森文庫)