建築観論

今朝のテレビ朝日スーパーモーニング、税金のムダ使いを糾弾するコーナー。今回のテーマはバブル期に作られた通称ハコ物。地方が国税を使い無理をして建てた建築が今になってそのツケに苦しんでいるという内容。ヤリ玉に挙がった建物に見覚え。秋田の体育館はそう、渡辺豊和氏の設計。レポーターがその過度な装飾に対しても税金のムダと言い放つ。コンセプトの「親亀小亀」については何じゃそりゃ・・・
この体育館、年間の収入は一千万円に及ばず維持費は一億円近いとんでもない赤字物件。顔出ししていた担当者は苦笑い。今の担当者に不満をぶつけてもそれは酷というもの。竣工は92年というから計画自体はバブル真っ盛りで日本中の感覚が狂っていた時。コンペでこの計画を通した当時の議会などはこの建物をどう見ていたのか。
続いて出てきたのは対馬文化施設。秋田に似た雰囲気はやはり同じ渡辺豊和氏の設計物件。同じ設計者の建築が続けてヤリ玉に挙がるのは何とも。ましてワタシの卒業した大学の教授でもあった。大学での心残りはこの教授の授業をとれなかったこと。実際にお会いして話をしてみたかった。
ここで思うのは渡辺豊和氏のコンセプトなどはなんの評価も得られていないこと。かなりクセのある建築であることは間違いない。好き嫌いも多いだろう。だがここまで一方的にムダと言いきられてしまうと建築家の考えてる事は一般には全く伝わらないと言うことなのか。建築家と一般の乖離をこれまで何度も感じてきたがこれなどそのものだろう。
番組の作り方にも疑問が残る。設計当時の担当者や設計者本人の言は無く一方的なレポーターの価値観で建築を評していること。取材の鉄則である平等な見解を反しているように感じる。もしかしたら取材拒否だったのかも知れないがそれならそのように断りを入れるべきだろう。今の価値観とバブル当時の価値観は同じ基準では測れないのではないか。
建築家が何処まで自身の設計した建築に対して説明するのか。建築にどう語らせるのか。もしくは設計者自身が語るのか。
また、一般の人たちにも建築や空間に対しての啓蒙を行うべきではないだろうか・・・