「長大作―84歳現役デザイナー」長 大作:著

ちょっとした必要があって読むことになった。この名前を聞いても知らなかった。知る人ぞ知るデザイナーだったようだ。本を読み進めるウチに知っているデザインが幾つも登場してくる。奥村昭雄さんの事務所に伺ったとき座った椅子、奥村さんが「それはワタシのデザインではないよ」と言われたのが今思えば「たびアームチェア」だった。そして銀座はイトーキ東京支店のショールームにある螺旋階段。あのスタイルは一目見て印象に強く残った曲線。あれも長大作さんのデザインだったとは。
デザインとは「美しさ」と「機能」を併せ持った概念と言われるが、昨今では「美しさ」先行で「機能」というか「使いやすさ」を置き去りにしたデザインが多いように思う。この本の中で長さんは「生活感」という言葉でその二つをつなげているように感じる。「無理のない形を素直につくる」この一言に長さんのデザインの本質が詰まっているようだ。それこそなぜその「形」なのかと言うことなのだろう。
長さんに京都造形大の特別講義で直接お話を聞くことが出来るのがとても楽しみ・・・

長大作―84歳現役デザイナー

長大作―84歳現役デザイナー